事の始まりは長くなるし、何があったのかだなんてよく分からないのです。
父は母方の家族と仲が悪い。というより奴が一方的に嫌っている。
去年の暮れに母方の祖父が亡くなって、葬式の準備でさえも行く事を許してもらえず、それでも実家に戻り最期の別れをしに行き帰った時も、ものを投げ付けられ怒鳴られる始末でした。
そして今年の法事で母だけ実家に帰りました。その夜、夕飯を食べている時の事でした。あいつは急に台所と居間を仕切る硝子の戸を蹴り割ったんです。「気に入らねぇ」という言葉を吐き捨てて。
私は信じられませんでした。何が起こったのか理解するのに数秒掛かりました。
もうご飯なんて処じゃない。空気が。飯を不味くした。
次に「足切った。バンドエイド」って催促するのです。何も言えない。ざまあという気持ちもありましたが、この先の事を考えていないのかという呆れと、だからと言って物に当たって良い訳がない。態々空気を害するその性根に怒りすら覚えました。
母は黙って硝子を拾い集め、掃除をします。こちらもイライラし、子供が自分の始末をしているのを見たら何か思うのかと思い掃除機を持ってきて硝子の破片を吸い取り始めました。「そっち硝子落ちてない?」「大丈夫?」と大きめの声で聞きながら。…ですがまったくこちらを見ません。これはどういうことか。人間ではないのではないかと本気で思いました。
私たちが協力して片付けていてもテレビをずっと見ている。
掃除を終えても知らぬ顔。
何度、「クズがあああ!!!」と叫びそうになった事か。
発狂したくなった事か。
この文を書くまで心の中が落ちつきませんでした。
私は恐ろしい。自分にあの血が入っているということが。
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