放課後、彼とふと目があった。
ただ少し仲がいいだけで、特別な仲ではないが、彼の事は一目置いている。
彼は一途で正々堂々という言葉が合う男。悪く言うなら手厳しく頑固。
嘘は吐かない分かりやすい男だ。
嘘を吐かないと素直でない事はまた別なのだが。
彼は私と目が合った後、「帰らないのか?」と聞かれた。
放課後になって数十分しか経っていない。今迄友人と一緒に居たのだが、さっきトイレに行った。
いつもその友人と帰っている。
「友人待ち」
「…奴と仲が良いな。人の事をとやかく言うのは好かんが、奴には気をつけろ」
「いつも仲違いしてるよね君ら」
彼は友人の事が嫌いなのだ。
友人は狡い方面で頭がよくキレる奴だ。嘘つきだし、酷い奴だ。
だけど私は友人を放っておく事はできない。
「お前…いつか泣かされても知らんぞ」
「…大丈夫。きっと」
心配をしてくれている。
大丈夫だ。多分。一応私は友人の嘘は分かっているつもり。
「…いつでも頼ってくれて構わん」
彼は私の肩を一回叩いて出て行った。
その後すぐ空を叩く音が聞こえて、友人の笑い声が聞こえた。
また顔を見た瞬間無言で殴り掛かったけどかわされたんだ…
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